市場調査レポートを比べる

自動運転の市場規模:6社7本の市場調査レポートの推計を比較

運転支援から無人の配車サービスまで対象の広い自動運転について、社内の検討資料に載せる数字をどのレポートから取るか決められるよう、調査会社ごとの値と予測期間、金額の差が生まれる理由の3つの仮説、調べたいことに合う1本の探し方を整理しました。

市場の定義とレポートごとの対象範囲

自動運転車(自律走行車)は、カメラ・LiDAR・レーダーなどのセンサーで周囲の状況をとらえ、システムが判断して車を操作する車です。人の運転を助ける先進運転支援システム(ADAS)から、人が運転に関わらない完全自動運転までの段階があり、ロボタクシーや無人運転のシャトル・配送車のように、車を売るのではなく移動のサービスとして使う形も広がっています。市場規模のレポートは、書名に掲げる範囲がそれぞれ違います。公開の概要に示される分析の区分も、構成要素別・自動化のレベル別・用途別などとレポートによって異なり、どのレベルまでを含めるかも一様ではありません。売上をどこまで計上しているかは、サンプルで確かめます。

自動化のレベル:レベル1〜2は運転支援で、運転の主体は人です。レベル3になると、高速道路などの限られた条件でシステムが運転を担い、システムから求められたときは人が引き継ぎます。レベル4は、走る地域や条件を限ったうえで、人の監視なしに走れる段階です。レベル5は、条件を限らない完全自動運転です。

レポートが扱う用途・種類など

用途や製品の種類などの例と、その項目で対象を分けているレポートや、特定の対象に絞ったレポートを紹介します。

項目例関連するレポート
自動化のレベルレベル1(運転支援)〜レベル5(完全自動運転)Mordor Intelligence(レベル1が2024年に45.21%)、Global Market Insights(レベル1が2025年に46%)、Value Market Research
車種乗用車・商用車・産業用車両Global Insight Services、Mordor Intelligence(乗用車が2024年に78.92%)
構成要素通信システム(V2X)・センサー・ソフトウェア360iResearch(構成要素別)、Global Insight Services
用途輸送・物流、ロボタクシー、農業・建設・鉱業360iResearch(自動運転車)、Global Insight Services
所有の形個人所有・シェアリングMordor Intelligence

調査会社別の市場規模の推計

各社の推計を、出典と年を添えて並べます。2025年の値では、360iResearch(自動運転車)が53.2億ドル、360iResearch(構成要素別)が315億ドル、Global Insight Servicesが928億ドル、Value Market Researchが1,978.5億ドル、Mordor Intelligenceが2,314.7億ドル、Global Market Insightsが2.3兆ドルと推計しています。2026年の値では、Coherent Market Insightsが2,894億ドルです。360iResearchの2本も2026年の値を示しており、自動運転車は64.3億ドル、構成要素別は348.4億ドルです。

起点最終年金額:億米ドル
20252026202720282029203020312032203320342035360iResearch自動運転車64.3201360iResearch構成要素別348.4679.8Global Insight Services9284,050Value Market Research1,978.514,198.2Mordor Intelligence2,314.77,477.3Global Market Insights23,00084,000Coherent Market Insights2,89431,277.8
円の面積は公表額に比例。全資料・全年で共通尺度。青円内の灰円は、起点額を同じ大きさで再掲しています。各資料の対象範囲は一致するとは限りません。線は2時点を結ぶもので、途中年の推移を示しません。
調査会社市場規模の推計将来の予測CAGR対象期間日本市場の扱い価格
360iResearch(自動運転車)2026年07月30日53.2億ドル2025年201億ドル2032年20.89%2025〜2032年(推定)国別の項目USD 3,939約63万円(税抜)より
360iResearch(構成要素別)2026年03月09日315億ドル2025年679.8億ドル2032年11.61%2025〜2032年(推定)国別の項目USD 3,939約63万円(税抜)より
Global Insight Services2026年07月02日928億ドル2025年4,050億ドル2035年15.9%2025〜2035年国別の項目USD 4,750約76万円(税抜)より
Value Market Research2026年08月12日1,978.5億ドル2025年1.42兆ドル2034年24.48%2026〜2034年国別の項目USD 3,920約62万円(税抜)より
Mordor Intelligence2026年06月26日2,314.7億ドル2025年7,477.3億ドル2030年26.43%2025〜2030年国別の項目USD 4,750約76万円(税抜)より
Global Market Insights2025年12月05日2.3兆ドル2025年8.4兆ドル2035年13.9%2026〜2035年国別の項目USD 4,850約77万円(税抜)より
Coherent Market Insights2026年04月01日2,894億ドル2026年3.13兆ドル2033年40.5%2026〜2033年国別の項目USD 4,500約72万円(税抜)より

分析の区分(構成要素別・自動化のレベル別・用途別など)や、どのレベルまでを含めるかといった対象の取り方に加え、比べる年と予測期間もレポートごとに異なります。そのため平均や幅にはまとめず、調査会社別に載せています。※「日本市場の扱い」の項目定義は次の通りです。【国別の項目】国別・地域別の章の中に日本がある。「CAGR」は年平均成長率で、対象期間はその計算の起点と終点の年です。「価格」は、最も安いライセンスの日本円換算の目安(1米ドル=158.95円、2026年10月9日の商品ページの表示。1万円未満を四捨五入)。

数値を比較に入れていないレポート
  • ResearchInChina:公開概要に世界市場の金額はない。中国の独立系自動車メーカーのADASと自動運転を扱う。「目的別の市場調査レポートの選び方」と「GIIの読み」で紹介

EDITORIAL VIEWGIIの読み(GII編集部)

推計が調査会社で違う理由:3つの仮説

レポートによる金額の差は、自動化のレベル、売上の計上範囲、用途・成長の前提の違いから生まれている可能性があります。3つの仮説と、サンプル・目次で確かめる点を並べました。

違いが出やすい点考えられる違いサンプル・目次で確かめること
自動化のレベル運転支援(レベル1〜2)をどこまで含めるかが違う可能性。Global Market Insightsはレベル1を46%(2025年)、Mordor Intelligenceは45.21%(2024年)と、レベル1の構成比を示しているレベル別の内訳と合計、レベル1〜2の扱い
売上の計上範囲車両全体の販売額を対象とするか、センサー・ソフトウェア・通信などの構成要素に絞るかが違う可能性市場の定義、売上の対象、車両と部品の重複の扱い
用途・成長の前提ロボタクシーや物流車両などのサービスの含め方や、普及の速さ・価格の下がり方の想定が違う可能性用途別の内訳、予測の主な前提とシナリオ

公開の概要からは、どの仮説が当てはまるかまでは確かめられません。どれも一般的な仮説で、各社の算定方法として確かめた内容ではありません。

引用する1本を決める場面では、金額の大きい小さいで選ばず、自社の事業に当たるレベルや構成要素の内訳が目次に立っているかを、サンプルで見ておきます。伸び率を社内の資料に書くなら、起点と終点の年を添えたCAGRとして記します。

市場規模の先で調べられているのは、中国の自動車メーカーの技術とサプライヤー

GIIのサイトでの検索は、「市場規模」を含む語より、「NOA」「E2E」と自動運転を組み合わせた技術の語のほうが多く表示されています。ResearchInChinaの中国の独立系自動車メーカーのADASと自動運転のレポートは、公開概要に世界市場の金額を載せていない代わりに、目次でレベル別の搭載数と搭載率、L2.5・L2.9のADASのサプライヤーの市場シェア、自動車メーカーごとの章を持ちます。全体の大きさを押さえたあとは、中国の自動車メーカーがどの技術を載せ、どのサプライヤーから調達しているかを、こうした章で追うことになります。

日本の扱いは、各社の国別の項目で確かめる

表に載せた英文のレポートは、いずれも目次の国別の項目に日本を置いていますが、日本を見出しにした章はありません。国別の項目にどれだけ紙幅を割くかは本ごとに違うので、サンプルで日本のページを見比べます。

目的別の市場調査レポートの選び方

調べたいことごとに、各レポートの商品ページの公開概要で確かめられる切り口を並べました。レポート名から商品ページへ進めます。

調べたいことレポート公開概要で確認できる切り口
レベル別の普及の速さを、構成比で見たいMordor Intelligence自動化レベル(レベル1:運転支援〜)・車種・推進方式・個人所有かシェアリングか・コンポーネント別。レベル1が2024年に45.21%
レベル別・車種別の構成比を、2035年までの予測で見たいGlobal Market Insightsレベル別・車種別。レベル1が2025年に46%、乗用車が81%と構成比を示し、2026年から2035年までを予測する
センサー・ソフトウェア・通信の需要を見たい360iResearch(構成要素別)通信システム(V2X)・センサー(カメラ・LiDAR・レーダーなど)・ソフトウェア別。自動化レベル・パワートレイン・車種別も
車両からサービスまで、範囲を広く見たいGlobal Insight Servicesタイプ・製品・サービス(MaaS・フリート管理)・技術・コンポーネント・用途・展開別
ロボタクシーや物流など、用途の広がりを見たい360iResearch(自動運転車)ロボタクシー・自動運転シャトル・物流車両・鉱業・港湾などの使い方を扱う(2026年7月発行)
レベル別の伸びを、2034年まで見たいValue Market Research自律のレベル別(レベル1〜4)・製品タイプ・用途・エンドユーザー別
用途と自動化レベルを分けて見たいCoherent Market Insights用途(防衛・輸送)・自動化レベル・推進方式・車両タイプ別(2026年の値)
中国の自動車メーカーの実装を知りたいResearchInChina中国の独立系自動車メーカーのADASを扱う(2026年4月発行)

価格・ライセンスは各商品ページで確認できます。サンプル依頼は何本でも無料です。

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よくあるご質問

Q.自動運転とは何ですか?
A.

人の運転を、機械やシステムで支援・代替する技術の総称です。カメラやLiDARなどのセンサーで周りを認識し、判断して、車を操作します。ドライバーの負担を減らすだけでなく、交通事故の減少や、バス・タクシー・物流の人手不足への対応も期待されています。

Q.自動運転の「レベル」とは何ですか?
A.

システムが運転をどこまで担うかの区分です。レベル2までは人が運転の主体で、システムは支援にとどまります。レベル3では限られた条件でシステムが運転し、システムから求められたときは人が引き継ぎます。レベル4では、走れる地域は限られるものの、人による監視が要らなくなります。

Q.自動運転の市場規模はどれくらいですか?
A.

レポートによって違います。たとえばMordor Intelligenceは2025年に2,314.7億ドル、360iResearch(構成要素別)は2025年に315億ドル、Coherent Market Insightsは2026年に2,894億ドルと推計しています。各社の値と予測期間は、「調査会社別の市場規模の推計」の表をご覧ください。

Q.自動運転の市場は、どのくらいのペースで伸びますか?
A.

伸び率(CAGR)は、調査会社ごとに値も対象期間も違うため、一つにはまとめていません。「調査会社別の市場規模の推計」の表で、各社のCAGRを対象期間と並べて確かめられます。

Q.自動運転の市場規模が、調査会社によってこれほど違うのはなぜですか?
A.

論点として考えられるのは、自動化のレベル(運転支援をどこまで含めるか)、売上の計上範囲(車両か構成要素か)、用途・成長の前提の3つです。それぞれの仮説と、サンプルで確かめる点は「GIIの読み」に整理しました。公開の概要からは、どの論点が差を生んでいるかまでは特定できません。

Q.中国のNOAやE2E自動運転のレポートはありますか?
A.

あります。中国の調査会社ResearchInChinaが、E2E自動運転、中国の自動車メーカーのADAS、自動運転用の地図、Tier1サプライヤーなどを、技術別・企業別に調べています。公開概要に世界市場の金額はありませんが、目次では搭載率やシェアを扱っています。「目的別の市場調査レポートの選び方」の「中国の自動車メーカーの実装を知りたい」の行からご覧ください。

Q.自動運転の日本市場のデータはありますか?
A.

表に載せた7本の英文のレポートは、いずれも目次の国別・地域別の章で日本を扱い、日本を章の見出しにしたものはありません。各社の扱いは、表の「日本市場の扱い」の列で確かめられます。

Q.どのレポートを選べばよいか分かりません。
A.

サンプル依頼は何本でも無料です。この記事を読んで気になったレポートがあれば、まずサンプルを依頼してみてください。専任スタッフがご要望を伺い、最適なレポートの最新版をご紹介します。

出典一覧

市場規模とCAGRは、各レポートの商品ページの「概要」欄からの引用です(2026-10-09取得)。発行日・価格は商品ページの欄、日本の扱いは目次、本数の集計はGIIが計算したものです。

  1. 自動運転車市場:世界市場予測、2026年~2032年(360iResearch、2026-07-30、商品コード 2103364)
  2. 自動運転市場:構成要素別、自動化レベル別、パワートレイン別、車種別、エンドユーザー別-2026年から2032年までの世界予測(360iResearch、2026-03-09、商品コード 1974273)
  3. 2035年までの自動運転車市場の分析と予測:タイプ、製品、サービス、技術、コンポーネント、用途、展開、エンドユーザー、機能、ソリューション(Global Insight Services、2026-07-02、商品コード 2077137)
  4. 自動運転車の世界市場規模、シェア、動向および成長分析レポート2026-2034(Value Market Research、2026-08-12、商品コード 2110262)
  5. 自動運転車:市場シェア分析、業界動向と統計、成長予測(2025年~2030年)(Mordor Intelligence、2026-06-26、商品コード 2097360)
  6. 自律走行車市場の機会、成長要因、業界動向分析、および2026年から2035年までの予測(Global Market Insights、2025-12-05、商品コード 1892892)
  7. 自動運転車市場:用途別、自動化レベル別、推進方式別、車両タイプ別、地域別(Coherent Market Insights、2026-04-01、商品コード 2052749)
  8. 中国の独立系OEMのADASと自動運転(2026年)(ResearchInChina、2026-04-08、商品コード 2017480)

比べた推計は、概要に2025年(Coherent Market Insightsは2026年)の値と予測値があり、金額とCAGRが合うものから、同じ調査会社の版違い(360iResearch・Global Insight Services・Stratistics MRC)、CAGRが金額と合わないもの・概要にないもの(IMARC・Astute Analytica・Fortune Business Insights)、予測値がないもの(AnalystView)を外した7本です。