市場調査レポートを比べる
自動運転の市場規模:6社7本の市場調査レポートの推計を比較
運転支援から無人の配車サービスまで対象の広い自動運転について、社内の検討資料に載せる数字をどのレポートから取るか決められるよう、調査会社ごとの値と予測期間、金額の差が生まれる理由の3つの仮説、調べたいことに合う1本の探し方を整理しました。
編集:GII編集部更新:2026年11月6日(数値は2026年10月9日時点)紹介したレポート:8本
市場の定義とレポートごとの対象範囲
自動運転車(自律走行車)は、カメラ・LiDAR・レーダーなどのセンサーで周囲の状況をとらえ、システムが判断して車を操作する車です。人の運転を助ける先進運転支援システム(ADAS)から、人が運転に関わらない完全自動運転までの段階があり、ロボタクシーや無人運転のシャトル・配送車のように、車を売るのではなく移動のサービスとして使う形も広がっています。市場規模のレポートは、書名に掲げる範囲がそれぞれ違います。公開の概要に示される分析の区分も、構成要素別・自動化のレベル別・用途別などとレポートによって異なり、どのレベルまでを含めるかも一様ではありません。売上をどこまで計上しているかは、サンプルで確かめます。
自動化のレベル:レベル1〜2は運転支援で、運転の主体は人です。レベル3になると、高速道路などの限られた条件でシステムが運転を担い、システムから求められたときは人が引き継ぎます。レベル4は、走る地域や条件を限ったうえで、人の監視なしに走れる段階です。レベル5は、条件を限らない完全自動運転です。
レポートが扱う用途・種類など
用途や製品の種類などの例と、その項目で対象を分けているレポートや、特定の対象に絞ったレポートを紹介します。
調査会社別の市場規模の推計
各社の推計を、出典と年を添えて並べます。2025年の値では、360iResearch(自動運転車)が53.2億ドル、360iResearch(構成要素別)が315億ドル、Global Insight Servicesが928億ドル、Value Market Researchが1,978.5億ドル、Mordor Intelligenceが2,314.7億ドル、Global Market Insightsが2.3兆ドルと推計しています。2026年の値では、Coherent Market Insightsが2,894億ドルです。360iResearchの2本も2026年の値を示しており、自動運転車は64.3億ドル、構成要素別は348.4億ドルです。
起点最終年金額:億米ドル
円の面積は公表額に比例。全資料・全年で共通尺度。青円内の灰円は、起点額を同じ大きさで再掲しています。各資料の対象範囲は一致するとは限りません。線は2時点を結ぶもので、途中年の推移を示しません。| 調査会社 | 市場規模の推計 | 将来の予測 | CAGR対象期間 | 日本市場の扱い | 価格 |
|---|
| 360iResearch(自動運転車)2026年07月30日 | 53.2億ドル2025年 | 201億ドル2032年 | 20.89%2025〜2032年(推定) | 国別の項目 | USD 3,939約63万円(税抜)より |
| 360iResearch(構成要素別)2026年03月09日 | 315億ドル2025年 | 679.8億ドル2032年 | 11.61%2025〜2032年(推定) | 国別の項目 | USD 3,939約63万円(税抜)より |
| Global Insight Services2026年07月02日 | 928億ドル2025年 | 4,050億ドル2035年 | 15.9%2025〜2035年 | 国別の項目 | USD 4,750約76万円(税抜)より |
| Value Market Research2026年08月12日 | 1,978.5億ドル2025年 | 1.42兆ドル2034年 | 24.48%2026〜2034年 | 国別の項目 | USD 3,920約62万円(税抜)より |
| Mordor Intelligence2026年06月26日 | 2,314.7億ドル2025年 | 7,477.3億ドル2030年 | 26.43%2025〜2030年 | 国別の項目 | USD 4,750約76万円(税抜)より |
| Global Market Insights2025年12月05日 | 2.3兆ドル2025年 | 8.4兆ドル2035年 | 13.9%2026〜2035年 | 国別の項目 | USD 4,850約77万円(税抜)より |
| Coherent Market Insights2026年04月01日 | 2,894億ドル2026年 | 3.13兆ドル2033年 | 40.5%2026〜2033年 | 国別の項目 | USD 4,500約72万円(税抜)より |
分析の区分(構成要素別・自動化のレベル別・用途別など)や、どのレベルまでを含めるかといった対象の取り方に加え、比べる年と予測期間もレポートごとに異なります。そのため平均や幅にはまとめず、調査会社別に載せています。※「日本市場の扱い」の項目定義は次の通りです。【国別の項目】国別・地域別の章の中に日本がある。「CAGR」は年平均成長率で、対象期間はその計算の起点と終点の年です。「価格」は、最も安いライセンスの日本円換算の目安(1米ドル=158.95円、2026年10月9日の商品ページの表示。1万円未満を四捨五入)。
数値を比較に入れていないレポート- ResearchInChina:公開概要に世界市場の金額はない。中国の独立系自動車メーカーのADASと自動運転を扱う。「目的別の市場調査レポートの選び方」と「GIIの読み」で紹介
EDITORIAL VIEWGIIの読み(GII編集部)
推計が調査会社で違う理由:3つの仮説
レポートによる金額の差は、自動化のレベル、売上の計上範囲、用途・成長の前提の違いから生まれている可能性があります。3つの仮説と、サンプル・目次で確かめる点を並べました。
| 違いが出やすい点 | 考えられる違い | サンプル・目次で確かめること |
|---|
| 自動化のレベル | 運転支援(レベル1〜2)をどこまで含めるかが違う可能性。Global Market Insightsはレベル1を46%(2025年)、Mordor Intelligenceは45.21%(2024年)と、レベル1の構成比を示している | レベル別の内訳と合計、レベル1〜2の扱い |
| 売上の計上範囲 | 車両全体の販売額を対象とするか、センサー・ソフトウェア・通信などの構成要素に絞るかが違う可能性 | 市場の定義、売上の対象、車両と部品の重複の扱い |
| 用途・成長の前提 | ロボタクシーや物流車両などのサービスの含め方や、普及の速さ・価格の下がり方の想定が違う可能性 | 用途別の内訳、予測の主な前提とシナリオ |
公開の概要からは、どの仮説が当てはまるかまでは確かめられません。どれも一般的な仮説で、各社の算定方法として確かめた内容ではありません。
引用する1本を決める場面では、金額の大きい小さいで選ばず、自社の事業に当たるレベルや構成要素の内訳が目次に立っているかを、サンプルで見ておきます。伸び率を社内の資料に書くなら、起点と終点の年を添えたCAGRとして記します。
市場規模の先で調べられているのは、中国の自動車メーカーの技術とサプライヤー
GIIのサイトでの検索は、「市場規模」を含む語より、「NOA」「E2E」と自動運転を組み合わせた技術の語のほうが多く表示されています。ResearchInChinaの中国の独立系自動車メーカーのADASと自動運転のレポートは、公開概要に世界市場の金額を載せていない代わりに、目次でレベル別の搭載数と搭載率、L2.5・L2.9のADASのサプライヤーの市場シェア、自動車メーカーごとの章を持ちます。全体の大きさを押さえたあとは、中国の自動車メーカーがどの技術を載せ、どのサプライヤーから調達しているかを、こうした章で追うことになります。
日本の扱いは、各社の国別の項目で確かめる
表に載せた英文のレポートは、いずれも目次の国別の項目に日本を置いていますが、日本を見出しにした章はありません。国別の項目にどれだけ紙幅を割くかは本ごとに違うので、サンプルで日本のページを見比べます。
目的別の市場調査レポートの選び方
調べたいことごとに、各レポートの商品ページの公開概要で確かめられる切り口を並べました。レポート名から商品ページへ進めます。
価格・ライセンスは各商品ページで確認できます。サンプル依頼は何本でも無料です。
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よくあるご質問
Q.自動運転とは何ですか?
A.人の運転を、機械やシステムで支援・代替する技術の総称です。カメラやLiDARなどのセンサーで周りを認識し、判断して、車を操作します。ドライバーの負担を減らすだけでなく、交通事故の減少や、バス・タクシー・物流の人手不足への対応も期待されています。
Q.自動運転の「レベル」とは何ですか?
A.システムが運転をどこまで担うかの区分です。レベル2までは人が運転の主体で、システムは支援にとどまります。レベル3では限られた条件でシステムが運転し、システムから求められたときは人が引き継ぎます。レベル4では、走れる地域は限られるものの、人による監視が要らなくなります。
Q.自動運転の市場規模はどれくらいですか?
A.レポートによって違います。たとえばMordor Intelligenceは2025年に2,314.7億ドル、360iResearch(構成要素別)は2025年に315億ドル、Coherent Market Insightsは2026年に2,894億ドルと推計しています。各社の値と予測期間は、「調査会社別の市場規模の推計」の表をご覧ください。
Q.自動運転の市場は、どのくらいのペースで伸びますか?
A.伸び率(CAGR)は、調査会社ごとに値も対象期間も違うため、一つにはまとめていません。「調査会社別の市場規模の推計」の表で、各社のCAGRを対象期間と並べて確かめられます。
Q.自動運転の市場規模が、調査会社によってこれほど違うのはなぜですか?
A.論点として考えられるのは、自動化のレベル(運転支援をどこまで含めるか)、売上の計上範囲(車両か構成要素か)、用途・成長の前提の3つです。それぞれの仮説と、サンプルで確かめる点は「GIIの読み」に整理しました。公開の概要からは、どの論点が差を生んでいるかまでは特定できません。
Q.中国のNOAやE2E自動運転のレポートはありますか?
A.あります。中国の調査会社ResearchInChinaが、E2E自動運転、中国の自動車メーカーのADAS、自動運転用の地図、Tier1サプライヤーなどを、技術別・企業別に調べています。公開概要に世界市場の金額はありませんが、目次では搭載率やシェアを扱っています。「目的別の市場調査レポートの選び方」の「中国の自動車メーカーの実装を知りたい」の行からご覧ください。
Q.自動運転の日本市場のデータはありますか?
A.表に載せた7本の英文のレポートは、いずれも目次の国別・地域別の章で日本を扱い、日本を章の見出しにしたものはありません。各社の扱いは、表の「日本市場の扱い」の列で確かめられます。
Q.どのレポートを選べばよいか分かりません。
A.サンプル依頼は何本でも無料です。この記事を読んで気になったレポートがあれば、まずサンプルを依頼してみてください。専任スタッフがご要望を伺い、最適なレポートの最新版をご紹介します。