抗体発見の世界市場：提供区分・技術・抗体タイプ・治療領域・性質・エンドユーザー・国別の分析・予測 (2025-2035年)

世界の抗体発見の市場規模は、2025年の約111億5,000万米ドルから、2035年までに353億5,000万米ドルに達すると予測されており、CAGRは約12.23％と見込まれています。

世界の抗体発見市場は、エンジニアリング技術、自動化、AIの進歩に牽引され、急速に進化しています。この成長を形作る主要な動向の一つは、治療の安全性、特異性、有効性を向上させつつ免疫原性を低減する、完全ヒト型およびヒト化抗体への移行です。ファージディスプレイ、トランスジェニック動物モデル、糖鎖工学などの技術に支えられ、これらのフォーマットはがん、自己免疫疾患、感染症の治療を変革しつつあります。さらに、ハイスループットスクリーニング、次世代シーケンシング、自動化の統合により、抗体の同定と最適化が効率化され、開発期間の大幅な短縮とコスト効率の向上が実現しています。契約研究機関 (CRO) への依存度が高まることで、抗体スクリーニングとエンジニアリングにおける専門的なインフラと専門知識が提供され、拡張性がさらに向上し、イノベーションが加速されています。

主要市場統計
予測期間	2025年～2035年
2025年評価	111億5,000万米ドル
2035年予測	353億5,000万米ドル
CAGR	12.23％

さらに、AIと機械学習は、予測モデリング、親和性最適化、迅速な配列設計を可能にすることで、創薬プロセスを変革しています。これらのツールは精度を高め、開発コストを削減し、精密医療への需要拡大を支えています。二重特異性抗体、抗体薬物複合体、単一ドメイン抗体などの革新技術は、腫瘍学、免疫学、希少疾患分野における治療の可能性を広げています。高い製造コストや遺伝子治療・細胞治療などの代替療法との競合といった課題はあるもの、自動化、バイオインフォマティクス、プロセス拡張性における継続的な進歩により、世界の抗体発見市場は今後10年間にわたり持続的な成長と技術的成熟を遂げると見込まれます。

セグメンテーション1：提供区分別

提供区分別では、抗体発見プラットフォームやシステム、キット、試薬、抗体ライブラリなど、発見ワークフロー全体で不可欠かつ高価値で繰り返し消費されるものを含む製品の部門がより大きなシェアを占めています。サービスも大きな収益を生み出しますが、製品販売は複数のプロジェクトに組み込まれることが多く、より広範な収益基盤を形成しています。

セグメンテーション2：技術別

技術別では、ファージディスプレイ技術が、非常に大規模な抗体ライブラリーをin vitroでスクリーニングできるため、多様で困難な標的に対する結合体を分離するのに非常に効率的であり、抗体発見市場において最大のシェアを占めています。免疫化を必要とせずに完全ヒト抗体を生成できるその能力により、製薬会社やバイオ技術企業、その他のエンドユーザーによって最も広く利用されている技術となっています。

セグメンテーション3：抗体タイプ別

モノクローナル抗体は、確立された技術であり、広く承認されており、複数の疾患領域における治療パイプラインの基盤を成しているため、世界の抗体発見市場において最大のシェアを占めています。一方で、二重特異性抗体、抗体薬物複合体 (ADC) 、その他の改良された抗体フォーマットは、効果の向上と新規作用機序を提供し、その急速な開発と臨床的成功により、次世代抗体が最も急速に成長する分野になると予想されています。

セグメンテーション4：性質別

性質別では、ヒト抗体が、患者において最も高い適合性と最も低い免疫原性リスクを提供するため、最大のシェアを占めています。トランスジェニック動物モデル、ファージディスプレイ、単一B細胞技術における進歩により、完全ヒト抗体の効率的な生成が可能となり、安全で持続的な治療薬として最適な選択肢となっています。

セグメンテーション5：治療領域別

治療領域別では、腫瘍部門が最大のシェアを占めています。これは、抗体ががん治療の基盤となり、数多くのモノクローナル抗体、二重特異性抗体、抗体薬物複合体 (ADC) が承認され、後期開発段階にあるためです。アンメットニーズの高さ、多額の研究開発投資、免疫腫瘍学における次世代抗体フォーマットの急速な採用が、この治療領域の持続的な優位性を支えています。

セグメンテーション6：エンドユーザー別

エンドユーザー別では、製薬・バイオ技術企業が、自社内で大規模な研究開発を実施し、差別化されたパイプライン構築のための独自の発見プラットフォームを維持しているため、2024年に最大のシェアを占めると予想されています。これらの企業はまた、抗体発見を加速させるために他社との協業を積極的に行いながら、ライセンシング契約や買収を活用して治療薬ポートフォリオの拡大を図っています。強力な財務基盤と次世代抗体モダリティの開発推進への重点的な取り組みが、この市場における主導的役割をさらに強化しています。

セグメンテーション7：地域別

北米地域は、主要なバイオ医薬品企業の強力な存在感、先進的な研究インフラ、高い研究開発投資に支えられ、世界の抗体発見市場において最大のシェアを占めると予想されています。同地域は、AI駆動型発見プラットフォームの早期導入、広範な臨床試験活動、生物学的製剤の開発と商業化を加速させる支援的な規制の枠組みの恩恵を受けています。

当レポートでは、世界の抗体発見の市場を調査し、主要動向、市場影響因子の分析、法規制環境、パイプラインの分析、市場規模の推移・予測、各種区分・地域/主要国別の詳細分析、競合情勢、主要企業のプロファイルなどをまとめています。

目次

エグゼクティブサマリー

範囲と定義

第1章 市場：業界展望

• 規制状況/コンプライアンス
  • 米国
  • EU
  • アジア太平洋
  • その他の地域
• 価格分析
  • 製品別
  • 地域別
• サプライチェーン分析
• バリューチェーン分析
• 特許分析
  • 国別
  • 企業別
  • 技術別
• 市場力学
  • 動向、促進要因、課題、機会：現状と将来への影響評価

第2章 提供区分

• 提供区分：サマリー
• 抗体発見市場 (製品別)
  • 抗体発見プラットフォームおよびシステム
  • キットと試薬
  • 抗体ライブラリ
  • その他
• 抗体発見市場 (サービス別)
  • 抗原の設計と調製
  • ヒット作の創出とスクリーニング
  • リード選択と最適化
  • 抗体工学と特性評価
  • その他

第3章 技術

• 技術：サマリー
• ファージディスプレイ技術
• ハイブリドーマ技術
• シングルB細胞技術
• 遺伝子組み換え動物を用いた方法
• その他の技術

第4章 抗体タイプ

• 抗体タイプ：サマリー
• モノクローナル抗体 (mAbs)
• ポリクローナル抗体
• 次世代抗体
  • 二重特異性抗体
  • 抗体薬物複合体 (ADC)
  • ナノボディ
  • その他の改変抗体

第5章 性質

• 性質：サマリー
• ヒト抗体
• ヒト化抗体
• キメラ抗体
• マウス抗体

第6章 治療領域

• 治療領域：サマリー
• 腫瘍性疾患
• 免疫疾患
• 感染症
• 心血管疾患
• 神経疾患
• その他

第7章 エンドユーザー

• エンドユーザー：サマリー
• 製薬およびバイオ技術企業
• 契約研究機関 (CRO)
• 学術研究機関
• その他

第8章 地域

• 地域：サマリー
• 北米
• 欧州
• アジア太平洋
• ラテンアメリカ
• 中東・アフリカ
  • 地域概要
  • 市場成長の原動力
  • 市場課題
  • 提供区分別
  • 技術別
  • 国別

第9章 市場：競合ベンチマーキングと企業プロファイル

• 製品マッピング
• パイプライン分析
• 各社の主要戦略と展開
• 企業プロファイル
  • OmniAb Inc.
  • Twist Bioscience Corporation
  • Biocytogen Pharmaceuticals (Beijing) Co., Ltd.
  • WuXi Biologics (Cayman) Inc.
  • Charles River Laboratories International, Inc.
  • Regeneron Pharmaceuticals, Inc.
  • FairJourney Biologics S.A.
  • Samsung Biologics
  • Genmab A/S
  • Alloy Therapeutics, Inc.

第10章 調査手法