市場調査レポートを比べる
フィジカルAIの市場規模:5社7本のレポートの推計を比較
どのレポートの数字を社内資料に使うか迷ったときのために、各社の推計と予測期間、推計の差を読む3つの仮説、調べたいことに合うレポートの選び方をまとめました。
編集:GII編集部更新:2026年10月27日(数値は2026年10月9日時点)紹介したレポート:9本
市場の定義と範囲の比較
フィジカルAI(物理AI、Physical AI)は、ロボットや車両、産業機器が、周りを認識し、推論し、実際に動くためのAIです。言葉が新しく、どこまでを含めるかの定まった定義はまだありません。書名に「フィジカルAI」を掲げるもののほか、プラットフォーム・自動化システム・エコシステムを書名に掲げるものもあります。
仕組み:認識する → 判断・計画する → 動作する → 結果を捉えて調整する、の繰り返しです。たとえば倉庫では、置かれた位置や形に合わせて荷物のつかみ方を変えます。決められた動きを繰り返す従来の自動化と違い、物や環境が変わっても動きを合わせられる点が新しさです。
細かく分ける軸
EDITORIAL VIEWGIIの読み(GII編集部)
推計の差を読む3つの仮説
レポートによる金額の差は、売上の計上範囲、対象の用途・機器、成長の前提の違いから生まれている可能性があります。3つの仮説と、サンプル・目次で確かめる点を並べました。
| 差を生み得る論点 | 今回の差についての仮説 | サンプル・目次で確かめること |
|---|
| 売上の計上範囲 | ロボットや車両などの機器全体の販売額を対象とするか、AIに関わる部品・ソフトの販売額に絞るかが違う可能性 | 市場の定義、売上の対象、部品と完成品の重複の扱い |
| 対象の用途・機器 | ロボット・自動運転車・スマートインフラなどを、どこまで含めるかが違う可能性。Astute Analyticaは自動運転車とスマートインフラに、Grand View Researchはスマートデバイスに触れている | 含める製品と外す製品の一覧、用途別の内訳と合計 |
| 成長の前提 | 導入の台数、普及率、価格の下がり方、商用化の時期の想定が違う可能性 | 予測の主な前提とシナリオ、数量と単価の推移 |
公開の概要からは、どの仮説が当てはまるかまでは確かめられません。どれも一般的な仮説で、各社の算定方法として確かめた内容ではありません。
使う数字を決めるときは、総額の大小ではなく、調べたい用途や部品の内訳を持つかを、サンプルの目次で確かめます。伸び率は、選んだレポートの値を、その対象期間とセットで使います。
日本の動きは、各レポートの国別の項目で
比べた英文のレポートは、どれも目次の国別の項目で日本に触れています。Future Marketsは概要でも日本に触れています。国内の扱いの厚さはレポートによって違うので、サンプルの目次で確かめます。
目的別の選び方
調べたいことごとに、各レポートの商品ページの公開概要で確かめられる切り口を並べました。レポート名から商品ページへ進めます。
| 調べたいこと | レポート | 公開概要で確認できる切り口 |
|---|
| ロボットの種類や自律のレベルから、用途を見たい | MarketsandMarkets | 提供区分・ロボットタイプ・自律レベル・産業・地域別。産業用ロボットの伸びを扱う |
| 技術の進み方と、現場で動かすときの課題を知りたい | Astute Analytica | コンポーネント・エンボディメント(ロボットの形態)・技術・自律レベル別。実験と現場の差(リアリティ・ギャップ)を課題に挙げる |
| ハード・ソフト・サービスの構成と、導入形態ごとの需要を見たい | Mordor Intelligence | 構成要素・ロボットの種類・導入形態(オンデバイス・クラウド・ハイブリッド)・業界別 |
| 開発と運用の基盤(ソフトウェア・AIモデル開発)の事業を調べたい | Mordor Intelligence(プラットフォーム) | ロボティクス・ソフトウェア・プラットフォーム、AIモデル開発プラットフォームなどの製品別 |
| 機器からサービスまで、供給側の構造を知りたい | Mordor Intelligence(エコシステム) | ハード・ソフト・サービス、ロボットの種類・形態、導入形態、業種別。導入の費用がロボットの購入費にとどまらない点を扱う |
| 工場の自動化で、既存の設備にどう組み込むかを知りたい | Stratistics MRC | 産業用の機械とロボットのプラットフォームが対象。既存の生産ラインとの統合の負担、エッジAI、産業用ロボットアームを扱う |
| 2040年までの長い見通しと、関連企業を広く見たい | Future Markets | 9つの産業分野と半導体の基盤までを対象に、3段階の普及の枠組みで予測。650社以上の企業プロファイル |
| 人型ロボットの長い見通しを、フィジカルAIの中で見たい | Mind Commerce | 産業用・業務用サービス・個人/家庭用のロボットと自動運転車を区分に含み、ヒューマノイドの2050年までの見通しを扱う |
価格・ライセンスは各商品ページで確認できます。サンプル依頼は何本でも無料です。
関連するテーマ
比較ページで読む
ヒューマノイドロボット
フィジカルAIの主要な応用先の一つ。29社52本の市場規模と、メーカー・部品の比較
近日公開
自動運転
車両のフィジカルAI。Astute Analyticaは自動運転車も対象に含める。LiDAR・車載SoCなどの部品市場まで
近日公開
サイト内検索で探す
ロボットハンド・エンドエフェクタ
個別テーマ。このテーマのレポート27本
協働ロボット
個別テーマ。このテーマのレポート49本
AMR・物流ロボット
個別テーマ。このテーマのレポート63本
ロボット部品(アクチュエータ・触覚センサ)
個別テーマ。このテーマのレポート40本
AIデータセンター
ロボットの推論を支える計算資源。電力・設備の部品市場まで
フィジカルAIのレポートを検索する
GIIのサイト内検索で、フィジカルAIに関するレポートをすべて探せます。キーワードを変えて絞り込むこともできます(結果は別のタブで開きます)。
よくあるご質問
Q.フィジカルAIとは何ですか?
A.ロボットや車両、産業機器などが、カメラやセンサーで周りを認識し、判断し、実際に動くためのAIです。認識・判断・動作・結果の確認を繰り返し、物や環境の変化に合わせて動きを変えます。人型ロボットに限らず、工場のロボットアームや倉庫の移動ロボット、自動運転車にも関わります。
Q.フィジカルAIの市場規模はどれくらいですか?
A.レポートによって大きく違います。たとえばMarketsandMarketsは2026年に15億ドル、Mordor Intelligenceは2025年に50.6億ドル、Grand View Researchは2025年に816.4億ドルと推計しています。各社の値と予測期間は、「出版社別の推計を並べる」の表をご覧ください。
Q.フィジカルAIとエンボディドAIは、同じものですか?
A.ほぼ重なる領域を指します。エンボディドAI(身体性AI)は、ロボットなどの身体を通じて周りと関わるAIを指し、研究の場で使われてきた言葉です。フィジカルAIは、それを工場や物流の現場で動かすところまで含めて使われることが多く、市場規模のレポートの書名はフィジカルAIが中心です。
Q.フィジカルAIと生成AIの違いはなんですか?
A.生成AIは、主にテキストや画像などを作り出すAIです。フィジカルAIは、ロボットや機械を通じて物を動かすなど、実世界に直接働きかけるAIです。ただし両者は排他的な分類ではなく、生成AIを組み込んだヒューマノイドや、画像・言語・動作をつなぐVLAモデルのように、重なる領域もあります。
Q.フィジカルAIの市場規模が、出版社によってこれほど違うのはなぜですか?
A.考えられるのは、売上の計上範囲、対象の用途・機器、成長の前提の違いです。「GIIの読み」に、この3つの仮説と、サンプルで確かめる点を並べました。公開の概要からは、どれが当てはまるかまでは特定できません。
Q.フィジカルAIの日本市場のデータはありますか?
A.比較した英文のレポートは、すべて目次で日本を国別の項目として扱っています。国別のデータの粒度はレポートによって異なるため、サンプルでご確認ください。
Q.フィジカルAIの市場は、どのくらいのペースで伸びますか?
A.各レポートの伸び率(CAGR)と、その対象期間は、「出版社別の推計を並べる」の表に載せています。
Q.フィジカルAIの市場規模に、ヒューマノイドロボットは含まれますか?
A.Mordor Intelligenceの3本は、構成要素にハードウェアを含みます。ヒューマノイドロボットの関連レポートは29社52本あります。比較ページの公開状況は「関連するテーマ」をご覧ください。
Q.どのレポートを選べばよいか分かりません。
A.サンプル依頼は何本でも無料です。この記事を読んで気になったレポートがあれば、まずサンプルを依頼してみてください。担当の営業がご要望を伺い、最適なレポートの最新版をご紹介します。