市場調査レポートを比べる

フィジカルAIの市場規模:5社7本のレポートの推計を比較

どのレポートの数字を社内資料に使うか迷ったときのために、各社の推計と予測期間、推計の差を読む3つの仮説、調べたいことに合うレポートの選び方をまとめました。

市場の定義と範囲の比較

フィジカルAI(物理AI、Physical AI)は、ロボットや車両、産業機器が、周りを認識し、推論し、実際に動くためのAIです。言葉が新しく、どこまでを含めるかの定まった定義はまだありません。書名に「フィジカルAI」を掲げるもののほか、プラットフォーム・自動化システム・エコシステムを書名に掲げるものもあります。

仕組み:認識する → 判断・計画する → 動作する → 結果を捉えて調整する、の繰り返しです。たとえば倉庫では、置かれた位置や形に合わせて荷物のつかみ方を変えます。決められた動きを繰り返す従来の自動化と違い、物や環境が変わっても動きを合わせられる点が新しさです。

細かく分ける軸

軸区分の例この軸で絞ったレポート
構成要素ハードウェア・ソフトウェア・サービスMordor Intelligence(フィジカルAI)・同(プラットフォーム)・同(エコシステム)。ハードウェアの割合は52.42%・45.12%・71.08%と、3本で違う
ロボットの種類産業用・業務用サービス・個人/家庭用MarketsandMarkets、Mordor Intelligence
ロボットの形態人型・アーム型・移動型などAstute Analyticaが「エンボディメント別」の区分を持つ
自律のレベルレベル別(MarketsandMarketsのレベル2は「中級(学習・適応)」)MarketsandMarkets・Astute Analytica
導入形態オンデバイス・クラウド・ハイブリッドMordor Intelligence・同(エコシステム)

出版社別の推計を並べる

各社の推計を、出典と年を添えて並べます。2025年の値では、Astute Analyticaが約35億ドル、Mordor Intelligenceが50.6億ドル、Grand View Researchが816.4億ドルと推計しています。2026年の値では、MarketsandMarketsが15億ドル、Stratistics MRCが63億ドルです。

起点最終年金額:億米ドル
20252026202720282029203020312032203320342035MarketsandMarketsフィジカルAI15152.4Astute AnalyticaフィジカルAI約35約581Mordor IntelligenceフィジカルAI71.1348.9Stratistics MRC自動化システム63129Mordor Intelligenceプラットフォーム97.1202.3Mordor Intelligenceエコシステム260.6514.7Grand View ResearchフィジカルAI816.49,603.8
円の面積は公表額に比例。全資料・全年で共通尺度。青円内の灰円は、起点額を同じ大きさで再掲しています。各資料の対象範囲は一致するとは限りません。線は2時点を結ぶもので、途中年の推移を示しません。
出版社市場規模予測CAGR対象期間日本市場の扱い価格(税抜)
MarketsandMarkets2026年04月03日15億ドル2026年152.4億ドル2032年47.2%2026〜2032年国別の項目約79万円〜
Astute Analytica2026年06月24日約35億ドル2025年約581億ドル2035年約32.4%2026〜2035年国別の項目約68万円〜
Mordor Intelligence(フィジカルAI)2026年06月29日50.6億ドル2025年348.9億ドル2031年37.46%2026〜2031年国別の項目約76万円〜
Stratistics MRC2026年08月01日63億ドル2026年129億ドル2034年9.3%2026〜2034年(推定)国別の項目約66万円〜
Mordor Intelligence(プラットフォーム)2026年08月11日81.2億ドル2025年202.3億ドル2031年15.81%2026〜2031年国別の項目約76万円〜
Mordor Intelligence(エコシステム)2026年08月11日225.8億ドル2025年514.7億ドル2031年14.58%2026〜2031年国別の項目約76万円〜
Grand View Research2026年03月20日816.4億ドル2025年9,603.8億ドル2033年36.1%2026〜2033年国別の項目約79万円〜

書名に掲げる対象や比べる年、予測期間がレポートごとに違うため、平均や幅にはまとめず、出版社別に載せています。※「日本市場の扱い」の項目定義は次の通りです。【国別の項目】国別・地域別の章の中に日本がある。「価格」は、最も安いライセンスの日本円換算の目安(1米ドル=158.95円、2026年10月9日の商品ページの表示。1万円未満を四捨五入)。

数値を比較に入れていないレポート
  • Future Markets:2040年までの長期の見通しを扱う。公開概要に、比較に用いた年の値は見当たらない
  • Mind Commerce:フィジカルAI全体の市場規模・CAGRは公開概要に記載なし。ヒューマノイドの長期の見通しを扱う

EDITORIAL VIEWGIIの読み(GII編集部)

推計の差を読む3つの仮説

レポートによる金額の差は、売上の計上範囲、対象の用途・機器、成長の前提の違いから生まれている可能性があります。3つの仮説と、サンプル・目次で確かめる点を並べました。

差を生み得る論点今回の差についての仮説サンプル・目次で確かめること
売上の計上範囲ロボットや車両などの機器全体の販売額を対象とするか、AIに関わる部品・ソフトの販売額に絞るかが違う可能性市場の定義、売上の対象、部品と完成品の重複の扱い
対象の用途・機器ロボット・自動運転車・スマートインフラなどを、どこまで含めるかが違う可能性。Astute Analyticaは自動運転車とスマートインフラに、Grand View Researchはスマートデバイスに触れている含める製品と外す製品の一覧、用途別の内訳と合計
成長の前提導入の台数、普及率、価格の下がり方、商用化の時期の想定が違う可能性予測の主な前提とシナリオ、数量と単価の推移

公開の概要からは、どの仮説が当てはまるかまでは確かめられません。どれも一般的な仮説で、各社の算定方法として確かめた内容ではありません。

使う数字を決めるときは、総額の大小ではなく、調べたい用途や部品の内訳を持つかを、サンプルの目次で確かめます。伸び率は、選んだレポートの値を、その対象期間とセットで使います。

日本の動きは、各レポートの国別の項目で

比べた英文のレポートは、どれも目次の国別の項目で日本に触れています。Future Marketsは概要でも日本に触れています。国内の扱いの厚さはレポートによって違うので、サンプルの目次で確かめます。

目的別の選び方

調べたいことごとに、各レポートの商品ページの公開概要で確かめられる切り口を並べました。レポート名から商品ページへ進めます。

調べたいことレポート公開概要で確認できる切り口
ロボットの種類や自律のレベルから、用途を見たいMarketsandMarkets提供区分・ロボットタイプ・自律レベル・産業・地域別。産業用ロボットの伸びを扱う
技術の進み方と、現場で動かすときの課題を知りたいAstute Analyticaコンポーネント・エンボディメント(ロボットの形態)・技術・自律レベル別。実験と現場の差(リアリティ・ギャップ)を課題に挙げる
ハード・ソフト・サービスの構成と、導入形態ごとの需要を見たいMordor Intelligence構成要素・ロボットの種類・導入形態(オンデバイス・クラウド・ハイブリッド)・業界別
開発と運用の基盤(ソフトウェア・AIモデル開発)の事業を調べたいMordor Intelligence(プラットフォーム)ロボティクス・ソフトウェア・プラットフォーム、AIモデル開発プラットフォームなどの製品別
機器からサービスまで、供給側の構造を知りたいMordor Intelligence(エコシステム)ハード・ソフト・サービス、ロボットの種類・形態、導入形態、業種別。導入の費用がロボットの購入費にとどまらない点を扱う
工場の自動化で、既存の設備にどう組み込むかを知りたいStratistics MRC産業用の機械とロボットのプラットフォームが対象。既存の生産ラインとの統合の負担、エッジAI、産業用ロボットアームを扱う
2040年までの長い見通しと、関連企業を広く見たいFuture Markets9つの産業分野と半導体の基盤までを対象に、3段階の普及の枠組みで予測。650社以上の企業プロファイル
人型ロボットの長い見通しを、フィジカルAIの中で見たいMind Commerce産業用・業務用サービス・個人/家庭用のロボットと自動運転車を区分に含み、ヒューマノイドの2050年までの見通しを扱う

価格・ライセンスは各商品ページで確認できます。サンプル依頼は何本でも無料です。

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車両のフィジカルAI。Astute Analyticaは自動運転車も対象に含める。LiDAR・車載SoCなどの部品市場まで

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フィジカルAIのレポートを検索する

GIIのサイト内検索で、フィジカルAIに関するレポートをすべて探せます。キーワードを変えて絞り込むこともできます(結果は別のタブで開きます)。

よくあるご質問

Q.フィジカルAIとは何ですか?
A.

ロボットや車両、産業機器などが、カメラやセンサーで周りを認識し、判断し、実際に動くためのAIです。認識・判断・動作・結果の確認を繰り返し、物や環境の変化に合わせて動きを変えます。人型ロボットに限らず、工場のロボットアームや倉庫の移動ロボット、自動運転車にも関わります。

Q.フィジカルAIの市場規模はどれくらいですか?
A.

レポートによって大きく違います。たとえばMarketsandMarketsは2026年に15億ドル、Mordor Intelligenceは2025年に50.6億ドル、Grand View Researchは2025年に816.4億ドルと推計しています。各社の値と予測期間は、「出版社別の推計を並べる」の表をご覧ください。

Q.フィジカルAIとエンボディドAIは、同じものですか?
A.

ほぼ重なる領域を指します。エンボディドAI(身体性AI)は、ロボットなどの身体を通じて周りと関わるAIを指し、研究の場で使われてきた言葉です。フィジカルAIは、それを工場や物流の現場で動かすところまで含めて使われることが多く、市場規模のレポートの書名はフィジカルAIが中心です。

Q.フィジカルAIと生成AIの違いはなんですか?
A.

生成AIは、主にテキストや画像などを作り出すAIです。フィジカルAIは、ロボットや機械を通じて物を動かすなど、実世界に直接働きかけるAIです。ただし両者は排他的な分類ではなく、生成AIを組み込んだヒューマノイドや、画像・言語・動作をつなぐVLAモデルのように、重なる領域もあります。

Q.フィジカルAIの市場規模が、出版社によってこれほど違うのはなぜですか?
A.

考えられるのは、売上の計上範囲、対象の用途・機器、成長の前提の違いです。「GIIの読み」に、この3つの仮説と、サンプルで確かめる点を並べました。公開の概要からは、どれが当てはまるかまでは特定できません。

Q.フィジカルAIの日本市場のデータはありますか?
A.

比較した英文のレポートは、すべて目次で日本を国別の項目として扱っています。国別のデータの粒度はレポートによって異なるため、サンプルでご確認ください。

Q.フィジカルAIの市場は、どのくらいのペースで伸びますか?
A.

各レポートの伸び率(CAGR)と、その対象期間は、「出版社別の推計を並べる」の表に載せています。

Q.フィジカルAIの市場規模に、ヒューマノイドロボットは含まれますか?
A.

Mordor Intelligenceの3本は、構成要素にハードウェアを含みます。ヒューマノイドロボットの関連レポートは29社52本あります。比較ページの公開状況は「関連するテーマ」をご覧ください。

Q.どのレポートを選べばよいか分かりません。
A.

サンプル依頼は何本でも無料です。この記事を読んで気になったレポートがあれば、まずサンプルを依頼してみてください。担当の営業がご要望を伺い、最適なレポートの最新版をご紹介します。

出典一覧

市場規模とCAGRは、各レポートの商品ページの「概要」欄からの引用です(2026-10-09取得)。発行日・価格は商品ページの欄、日本の扱いは目次、本数の集計はGIIが計算したものです。数値の転記に誤りがあれば、お知らせください。

数値を使ったレポート(9本)

  1. フィジカルAIの世界市場 (~2032年):提供区分・ロボットタイプ・自律レベル・産業・地域別(MarketsandMarkets、2026-04-03、商品コード 2027369)
  2. 世界のフィジカルAI市場:コンポーネント別、エンボディメント別、技術別、自律レベル別、用途別、エンドユーザー別―市場規模、業界力学、機会分析および予測(2026年~2035年)(Astute Analytica、2026-06-24、商品コード 2080157)
  3. フィジカルAI:市場シェア分析、業界動向と統計、成長予測(2026年~2031年)(Mordor Intelligence、2026-06-29、商品コード 2099066)
  4. フィジカルAI自動化システムの世界市場、2034年までの予測:製品別、コンポーネント別、コンポーネントタイプ別、技術別、用途別、エンドユーザー別、地域別(Stratistics MRC、2026-08-01、商品コード 2120913)
  5. フィジカルAIプラットフォーム:市場シェア分析、業界動向と統計、成長予測(2026年~2031年)(Mordor Intelligence、2026-08-11、商品コード 2119297)
  6. フィジカルAIエコシステム:市場シェア分析、業界動向と統計、成長予測(2026年~2031年)(Mordor Intelligence、2026-08-11、商品コード 2119275)
  7. フィジカルAI市場規模、シェアおよび動向分析レポート:コンポーネント別、技術別、用途別、地域別、およびセグメント別予測(2026年~2033年)(Grand View Research、2026-03-20、商品コード 2018284)
  8. フィジカルAIの世界市場(2027年~2040年)(Future Markets、2026-06-25、商品コード 2070575)
  9. フィジカルAI市場:技術・インフラ・用途・業界別 (2026年~2032年)(Mind Commerce、2026-07-14、商品コード 2089854)
  • このテーマのレポート数(33本):URLの英語名に physical-ai または ai-robotics を含むものの件数です(2026年10月7日時点の索引)。ヒューマノイドロボットのレポート数(29社52本)は、URLの英語名に humanoid を含むものです。