中国の商用車用IoV・インテリジェントコックピット産業（2025年）

I. 乗用車と商用車の技術統合の第三の波が到来し、商用車のインテリジェント化が加速しています。

乗用車と商用車の技術統合とは、主に両技術の研究開発・製造・サービスにおける深い融合を指し、乗用車技術の商用車への移行が中心となります。歴史的に、乗用車/商用車の技術統合は三度発生しました。第一の波では、乗用車から商用車へのプラットフォーム移行と戦略的レイアウトが完了しました。第二の波では、商用車の電化が推進されました。そして第三の波では、乗用車のインテリジェント技術が商用車分野へ包括的に搭載されることになります。

第三の波において、商用車は電気駆動、バッテリー、電気制御、アーキテクチャ、自動運転、インテリジェントコックピットにおける包括的なアップグレードを受けています。

電気駆動・バッテリー・電子制御：BYDのQ3バッテリー電気49トントラクタートラックは、BYDの最新ブレードバッテリーを採用し、中長距離専用路線、港湾、製鉄所、石炭火力発電所などの短距離輸送シナリオに対応する350～400キロメートルの航続距離を備えています。最大充電電流1,000A、出力600kWの4ガン急速充電システムにより、20%から80%までの充電を40分で完了できます。

アーキテクチャ：Changan Kaichengが発表した新エネルギー商用車アーキテクチャ、K01は、Changan Automobileの商用車分野における6層アーキテクチャ技術の具体的な現れです。機械層、エネルギー層、電子・電気アーキテクチャ層におけるChangan Automobileの新技術成果を統合し、「上下層の分離、ソフトウェアとハードウェアの分離、車両とクラウドの統合」といった中核的な技術的特長を備えています。従来のアーキテクチャと比較して、K01アーキテクチャに基づく車両の開発サイクルは1年短縮され、研究開発投資は40%削減、製造効率は30%向上し、大きなブレークスルーを実現しています。

自動運転：Geelyが子会社Farizon向けに開発したYoulong Autonomous Drivingシステムは、車・衛星間接続、スーパーコンピューティング能力、AIシャーシバイワイヤ、シナリオカスタマイズ、安全冗長性、ビジネスエコシステムの6つの核心的特長を備えています。これはGeelyが過去数年間にわたりさまざまな分野で推進してきた技術革新とエコシステム構築の集大成です。

インテリジェントコックピット：GAC T9の運転席には、エンターテインメント機能、360度パノラミックイメージング、超高精細プロジェクション、ナビゲーションを備えた15インチCID（センターインフォメーションディスプレイ）と、電力消費、航続距離、速度、車両状態などの情報を表示できる液晶クラスターが搭載されており、コックピットの技術感を高め、運転の楽しさを向上させています。

II. 商用車用インテリジェント端末の進化

1. ドライブレコーダーにビデオモニタリング機能を追加

ドライブレコーダーは主に、車速、時刻、走行距離、位置情報などの運転状況関連データを記録・保存し、データ通信を通じて出力します。

次世代のドライブレコーダーには、インテリジェントビデオモニタリング機能などの追加が求められており、保存・伝送用のハードウェアに加え、アルゴリズムや分析用のソフトウェアもアップグレードする必要があります。主要メーカー各社は、こうした製品のさらなるインテリジェント化に力を注いでいます。

2. T-Boxはe-Call機能などを統合します

T-Boxは、もう1つの主要なIoV（Internet of Vehicles）データ収集端末です。商業輸送、ロジスティクス配送、商用車フリート管理などのさまざまなシナリオにおいて、走行データ収集、走行軌跡記録、車両故障監視、車両遠隔照会・制御、運転行動分析などのサービスを提供します。

政策・規制の推進により、2025年時点で全ての新型エネルギー商用車、天然ガス商用車、大型ディーゼル車にT-Boxの搭載が義務付けられています。その他の市場においても、IoVへの需要により搭載率は緩やかに上昇しています。

3. 15.6インチCIDが車両に搭載

商用車ユーザーにとって、車内での生活は日常的なものです。日常業務において、運転、休憩、貨物情報、ソーシャル交流、エンターテインメントなど、ほぼすべてがコックピット内で行われます。したがって、商用車コックピットのインテリジェント機能は、運転体験の向上において特に重要です。

現在、商用車向けに量産・応用されている主なインテリジェントコックピット機能には、カラーCID、Bluetooth/車両電話、LCDクラスター、タイヤ空気圧モニタリング、ドライバー疲労モニタリングなどが含まれます。このうちカラーCIDとBluetooth/車両電話は15%を超える搭載率を達成しており、商用車のインテリジェントコックピットの代表的な機能となっています。

当レポートでは、中国の自動車産業について調査分析し、商用車用IoV（Internet of Vehicles）およびインテリジェントコックピットの市場と機能、各社のレイアウト、開発動向などの情報を提供しています。

目次

第1章 商用車用IoVの概要

• 商用車用IoVの定義
• 商用車の売上と市場規模（2025年～2030年）
• 商用車用IoVの開発史
• 商用車用IoV 2.0の特徴
• 商用車用IoV 3.0の特徴
• 商用車用IoV 4.0の特徴
• さまざまな市場セグメントにおけるIoVの需要
• 商用車用IoVの産業チェーン

第2章 商用車用IoV端末機器

• 概要
• 商用車用ドライビングレコーダー
• 商用車用T-Box
• 商用車用タイヤ空気圧モニタリングシステム（TPMS）

第3章 商用車用IoVのデータの応用と重要な技術

• 商用車用IoV向けクローズドループデータ
• 商用車用IoV向けデータ収集
• 商用車用IoV向けデータストレージ
• 商用車用IoVのプラットフォームとサービス
• 商用車用IoVデータの応用
• 商用車における5G通信の応用
• 商用車におけるV2Xの応用
• 商用車における衛星通信の応用

第4章 商用車用インテリジェントコックピットの市場と機能

• 商用車用インテリジェントコックピットの開発経路
• 商用車用クラスターの開発経路
• 商用車におけるスマートコックピットの搭載率
• 商用車用CID/LCDクラスターの市場規模と競合情勢
• 商用車用ディスプレイ
• 商用車用電子バックミラー
• 商用車用疲労モニタリングシステム

第5章 IoV・スマートコックピットにおける中国の商用車OEMのレイアウト

• FAW Jiefang
• Dongfeng Commercial Vehicle
• Sinotruk
• Shaanxi Heavy Duty Automobile
• Foton Motor
• Yutong Group
• Ruguo Technology
• JAC
• Geely Commercial Vehicles
• Dayun
• Xugong

第6章 中国の商用車用IoV・スマートコックピットのTier 1サプライヤー

• Yaxon Connect
• Hopechart
• Smartlink
• Qiming Information Technology
• South Sagittarius Integration
• Jingwei Hirain
• Intest
• Yuwei
• CVNAVI
• Shanghai Hangsheng
• Dongfeng Electronic Technology

第7章 IoV・スマートコックピットのサマリーと開発動向

• OEMの商用車用IoVレイアウトの比較
• サプライヤーの商用車用IoV事業の比較
• 商用車用IoVの開発動向