グリーンデータセンターの世界市場：コンポーネント別、データセンターの規模と容量別、データセンターのタイプ別、企業向けデータセンター別、地域別 - 2030年までの予測

世界のグリーンデータセンターの市場規模は急速に拡大しており、2025年の約482億6,000万米ドルから2030年には1,557億5,000万米ドルに拡大すると予測され、CAGRは26.4%になる見込みです。

この市場を牽引しているのは、高密度ワークロードをサポートするためのエネルギー効率に優れたインフラに対する需要の高まりです。また、企業は、AI、クラウドコンピューティング、データ分析などのリソース集約型アプリケーションに電力を供給するための再生可能エネルギー源の採用拡大とともに、運用効率を最適化し、企業のネットゼロ目標に沿うために、高度な冷却ソリューションとインテリジェントなエネルギー管理システムを求めています。

さらに、信頼性の高い低炭素電力と拡張可能なモジュール設計のニーズは、拡大するデジタル・ワークロードに対応するために不可欠になっており、自動モニタリングと炭素報告機能により、強化されるグローバル規制へのコンプライアンスが可能になります。一方、市場には、再生可能エネルギーとの統合や高度な冷却技術の導入に伴う多額の先行投資や、既存施設の改修における運用の複雑さなどの抑制要因があり、予算重視の企業やレガシー重視の企業では導入が遅れる可能性があります。

クラウド＆ハイパースケールデータセンターは、グリーンデータセンター市場の最前線にあり、大規模なクラウドプラットフォーム、AIワークロード、グローバルアプリケーションをサポートするために、再生可能エネルギー、高度な冷却技術、エネルギー効率の高いインフラの採用を推進しています。これらの施設は、環境への影響を最小限に抑えながら、ハイパフォーマンス・コンピューティングを大規模に提供するように設計されており、持続可能性を運用戦略の中心的な要素にしています。戦略的パートナーシップは、この変革を加速し、新興ベンダーやソリューションプロバイダーが革新的でエネルギー効率の高いソリューションに貢献する機会を創出する上で重要な役割を果たしています。2024年11月、Schneider ElectricとVertivは、GoogleやMicrosoftなどの大手ハイテク企業と共同で、ディーゼルバックアップ発電機をよりクリーンな代替品に置き換えるための情報提供要請を欧州で開始し、二酸化炭素排出量の削減と低炭素運転の導入に対する業界のコミットメントを示しました。

同様に2023年、Huaweiは青海雲谷ビッグデータ産業開発と提携し、青海省海南県で100％クリーンエネルギーのデータセンターを開発し、信頼性、柔軟性、高いエネルギー効率を実現するモジュール設計の可能性を明らかにしました。これらの協力関係は、統合されたスケーラブルで持続可能なインフラが、環境への影響を抑えながらいかに性能要求を満たすことができるかを浮き彫りにしています。新興ベンダーやソリューション・プロバイダーにとって、こうした取り組みに参加することで、革新的な技術を提供し、市場での存在感を高め、クラウドやハイパースケールデータセンターのグリーン変革に大きく貢献することができます。

データセンターインフラストラクチャ管理（DCIM）は、グリーンデータセンターにおいて最も重要なソフトウェアセグメントであり、持続可能性を最大化し、エネルギー消費を削減するために、ITおよびファシリティリソースの包括的な監視、制御、最適化を可能にするため、予測期間中に最大の市場シェアを占めると予想されます。DCIMは継続的な電力と環境の監視を提供し、施設全体の電力使用量、電圧、温度、湿度、気流などの指標を追跡することで、オペレータはホットスポットを特定し、異常を検出し、信頼性の高い運用を確保しながらエネルギーの浪費を防ぐことができます。このソフトウェアのエネルギー最適化ツールは、消費パターンを分析して、冷却、照明、ITワークロードの調整を提案または自動化し、パフォーマンスを損なうことなく二酸化炭素排出量を削減します。DCIM内のキャパシティ・プランニングは、電力、冷却、スペース要件の正確な予測を可能にし、効率的なリソース割り当てを保証し、過剰なプロビジョニングを最小限に抑えます。

資産ライフサイクル管理は、ITおよびインフラコンポーネントの調達から廃棄までを追跡し、最適な利用、冗長性の削減、持続可能な調達慣行をサポートします。アラートおよびインシデント管理機能は、潜在的な障害、閾値違反、または非効率性をリアルタイムで通知し、ダウンタイムとエネルギー損失を最小限に抑えるための迅速な是正措置を可能にします。新興ベンダーは、この成長を利用することができます。例えば、2025年6月、Schneider ElectricはNTTデータと提携し、欧州の複数のデータセンターにEcoStruxure IT DCIMプラットフォームを展開し、運用効率とエネルギー節約を強化しました。ベンダーは、分析、自動化、監視を統合することで、エネルギー効率が高く、持続可能で、規制に準拠したデータセンター運用を実現することができます。

北米は、エネルギー効率の高いインフラ、再生可能エネルギーによる設備、厳格な持続可能性規制への準拠に対する企業需要の高まりに牽引され、グリーンデータセンター市場を独占すると予想されます。これは、ソリューションプロバイダーやベンダーにとって、ハイパースケールクラウド、金融サービス、AI主導のアナリティクス、ヘルスケアなどの業界をサポートするスケーラブルなプラットフォームを提供する大きなチャンスとなります。同地域の成熟したデータセンター・エコシステムとネットゼロ構想の急速な採用は、従来の電力集約型施設から低排出、モジュール型、高密度設計への移行を加速させ、持続可能で規制に準拠したインフラに対する強い需要を生み出しています。

再生可能エネルギー供給業者や技術ベンダーとの提携を含む戦略的協力関係は、グリーンデータセンターがいかに運用効率を高め、カーボンフットプリントを削減するかを実証しています。プロバイダーは、こうした発展に取り組むことで、企業の持続可能性に関する目標を達成し、エネルギーや規制の課題に対処し、環境に対する責任と技術革新がますます重要視されるこの業界において、強靭な市場ポジションを確立することができます。

当レポートでは、世界のグリーンデータセンター市場について調査し、コンポーネント別、データセンターの規模と容量別、データセンターのタイプ別、企業向けデータセンター別、地域別動向、および市場に参入する企業のプロファイルなどをまとめています。

目次

第1章 イントロダクション

第2章 調査手法

第3章 エグゼクティブサマリー

第4章 重要考察

第5章 市場概要と業界動向

• イントロダクション
• 市場力学
• ケーススタディ分析
• エコシステム分析
• サプライチェーン分析
• 技術分析
• ポーターのファイブフォース分析
• 主要な利害関係者と購入基準
• 価格分析
• 特許分析
• 貿易分析
• 規制状況
• 顧客ビジネスに影響を与える動向と混乱
• 2025年～2026年の主な会議とイベント
• 生成AIの影響
• ビジネスモデル
• 投資と資金調達のシナリオ
• 2025年の米国関税の影響

第6章 グリーンデータセンター市場（コンポーネント別）

• イントロダクション
• インフラストラクチャー
• ソフトウェア
• サービス

第7章 グリーンデータセンター市場（データセンターの規模と容量別）

• イントロダクション
• エッジ＆マイクロデータセンター（1～5MW）
• 中規模データセンター（5～50MW）
• 大規模およびハイパースケールデータセンター（50MW以上）

第8章 グリーンデータセンター市場（データセンターのタイプ別）

• イントロダクション
• クラウド＆ハイパースケールデータセンター
• コロケーションデータセンター
• エンタープライズデータセンター

第9章 グリーンデータセンター市場（企業向けデータセンター別）

• イントロダクション
• 製造
• エネルギー・公益事業
• 小売・eコマース
• テクノロジー・ソフトウェア
• 電気通信
• メディア・エンターテインメント
• 銀行、金融サービス、保険
• ヘルスケア・ライフサイエンス
• 政府と防衛
• その他

第10章 グリーンデータセンター市場（地域別）

• イントロダクション
• 北米
  • 北米：グリーンデータセンター市場促進要因
  • 北米：マクロ経済見通し
  • 米国
  • カナダ
• 欧州
  • 欧州：グリーンデータセンター市場促進要因
  • 欧州：マクロ経済見通し
  • 英国
  • ドイツ
  • フランス
  • イタリア
  • その他
• アジア太平洋
  • アジア太平洋：グリーンデータセンター市場促進要因
  • アジア太平洋：マクロ経済見通し
  • 中国
  • 日本
  • インド
  • その他
• 中東・アフリカ
  • 中東・アフリカ：グリーンデータセンター市場促進要因
  • 中東・アフリカ：マクロ経済見通し
  • 湾岸協力会議
  • 南アフリカ
  • その他
• ラテンアメリカ
  • ラテンアメリカ：グリーンデータセンター市場促進要因
  • ラテンアメリカ：マクロ経済見通し
  • ブラジル
  • メキシコ
  • その他

第11章 競合情勢

• イントロダクション
• 主要参入企業の戦略/強み
• 収益分析、2020年～2024年
• 市場シェア分析、2024年
• 製品/ブランド比較分析
• 企業評価マトリックス：主要参入企業、2024年
• 企業評価マトリックス：スタートアップ/中小企業、2024年
• 主要ベンダーの企業評価と財務指標
• 競合シナリオ

第12章 企業プロファイル

• 主要参入企業
  • SCHNEIDER ELECTRIC
  • VERTIV
  • EATON
  • DAIKIN
  • ABB
  • DELTA ELECTRONICS
  • CARRIER
  • SIEMENS
  • GE VERNOVA
  • STULZ GMBH
• その他の企業
  • GREEN REVOLUTION COOLING
  • MODINE（AIREDALE）
  • JOHNSON CONTROLS
  • HUAWEI DIGITAL POWER TECHNOLOGIES CO., LTD.
  • HONEYWELL INTERNATIONAL INC.
  • HITACHI ENERGY LTD.
  • TRANE
  • CYBER POWER SYSTEMS, INC.
  • LITE-ON TECHNOLOGY CORPORATION.
  • RITTAL PVT. LTD.
  • ASETEK INC.
  • SUNBIRD SOFTWARE, INC.
  • PACKET POWER
  • DANFOSS
  • ZUTACORE, INC.
  • SUBMER
  • NORTEK DATA CENTER COOLING
  • ALFA LAVAL
  • TOSHIBA
  • MIDAS IMMERSION COOLING
  • COOLIT SYSTEMS
  • RIELLO UPS
  • MITSUBISHI HEAVY INDUSTRIES, LTD.
  • LANGLEY HOLDINGS PLC
  • FUJI ELECTRIC CO., LTD.

第13章 隣接市場と関連市場

第14章 付録