持続的腎代替療法市場

世界の持続的腎代替療法の市場規模は、2024年の16億7,000万米ドルから2031年には29億8,000万米ドルに拡大すると予測されています。2025年～2031年のCAGRは8.7%と予測されます。

市場の概略とアナリストの見解：当レポートでは、持続的腎代替療法市場の現在の動向と予測期間中に予想される効果に基づく成長機会を概説しています。

持続的腎代替療法（CRRT）は、重篤な急性腎障害（AKI）、体液過多、尿毒症に罹患した患者に対する重要な治療法であり、生命を脅かす代謝障害につながる可能性があります。小児用CRRT装置に対する需要の高まりと、腎障害をもたらす慢性疾患の高い発生率が、持続的腎代替療法市場の成長を牽引しています。しかし、重大な腎有害事象（MAKE）のリスクが大きいことが、市場拡大の課題となっています。

市場促進要因：腎障害につながる慢性疾患の高い有病率

世界では、10人に1人が慢性腎臓病（CKD）に罹患しており、有病率も高く、致命的な疾患となる可能性があります。2015年～2019年に、糖尿病と高血圧が腎不全症例の75%を占めています。全米腎臓財団の2020年の推計によると、米国では20歳以上の糖尿病人口の約30％が生涯のうちにCKDを発症するリスクがあります。さらに、2020年にはCKDによる死亡者数が前立腺がんや乳がんを上回り、認識不足の健康上の緊急事態であることが浮き彫りになりました。アメリカの成人の約3人に1人（約8,000万人）がCKDの危険にさらされており、現在ではAKIの重大な危険因子として認識されています。糸球体濾過量（GFR）の低下と蛋白尿の増加は、AKIと密接な関係があります。

米国国立衛生研究所（National Institute of Health）の報告によると、先進国におけるAKIの発生率は上昇傾向にあり、入院患者におけるその有病率は15％に達すると予想され、重症患者ではさらに高く60％に達すると予想されています。入院患者におけるAKIの世界的な発生率は0.7％～31％で、ICU患者では50％を超えています。AKI患者の3％～13％が腎代替療法（RRT）を必要とし、これらの患者の40％が90日以上CRRTを必要とすると推定されています。このように、腎障害につながる慢性疾患の有病率の高さが、持続的腎代替療法市場の成長を大きく後押ししています。

しかし、CRRTには低血圧、頻脈、その他の不整脈などの副作用が伴い、患者の状態に悪影響を及ぼしたり、回復を妨げたりする可能性があります。さらに、CRRT回路は、微量栄養素、微量元素、および/または治療薬の急速なクリアランスにつながる可能性があり、その結果、血液中および組織中の濃度が低くなったり、一定しなくなったりするため、副作用を引き起こしたり、治療効果を低下させたりする可能性があります。その結果、こうした副作用が持続的腎代替療法市場の成長を制限しています。

戦略的洞察

レポートセグメンテーションと調査範囲：持続的腎代替療法市場の分析は、製品、モダリティ、エンドユーザーという区分で調査しています。

市場セグメンテーション：持続的腎代替療法市場は、製品別に透析液・補液、ディスポーザブル、血液ラインセット・チューブ、CRRTシステム、血液フィルターに分類されます。2022年にはCRRTシステムセグメントが最大の市場シェアを占め、2022年～2030年には血液フィルターセグメントが最も高いCAGRを示すと予測されています。

モダリティ別では、持続的腎代替療法市場は持続的静脈血液濾過（CVVH）、持続的静脈血液濾過透析（CVVHDF）、持続的静脈血液透析（CVVHD）、緩徐式持続的限外濾過（SCUF）に分けられます。CVVHセグメントは2022年に最大の市場シェアを占め、CVVHDFセグメントは2022～2030年に最も高いCAGRを達成すると予測されています。

エンドユーザー別では、持続的腎代替療法市場は病院、外来ケアセンター、在宅ケア、その他に区分されます。2022年には病院セグメントが市場シェアを独占しましたが、2022年～2030年には在宅モニタリングセグメントが最も高いCAGRを記録すると予測されています。

地域分析：持続的腎代替療法市場レポートは、北米（米国、カナダ、メキシコ）、欧州（スペイン、英国、ドイツ、フランス、イタリア、その他欧州）、アジア太平洋（韓国、中国、インド、日本、オーストラリア、その他アジア太平洋）、中東・アフリカ（南アフリカ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、その他中東・アフリカ）、中南米（ブラジル、アルゼンチン、その他中南米）を対象としています。

売上高では、北米が2022年の持続的腎代替療法市場をリードしました。アジア太平洋市場は2022年～2030年に最も高いCAGRを記録すると予想され、その原動力はヘルスケアインフラの改善と革新的なCRRT技術の採用であり、これらは医療費の増加に結びついています。さらに、アジア太平洋でのプレゼンスを高めるための市場参入企業による戦略的取り組み（現地の医療提供者との提携など）が、この地域の市場成長を支えています。

持続的腎代替療法市場の調査範囲

競合情勢と主要企業：持続的腎代替療法市場レポートは、バクスターインターナショナル、旭化成、フレゼニウスメディカルケア、メディカS.p.A.、メドトロニックPlc、B.ブラウン、日機装株式会社、東レメディカル株式会社、Infomed SA、Quanta Dialysis Technologies Inc.などの主要企業に焦点を当てています。持続的腎代替療法市場の予測は、利害関係者の成長戦略立案に役立ちます。これらの企業は、世界的な消費者需要の増加に対応するため、新技術の投入、既存製品の強化、事業拡大に注力しています。

2022年4月、米国食品医薬品局（FDA）はBaxter International Inc.のST Setを持続的腎代替療法（CRRT）に使用することを510（k）認可しました。STセットは、PrisMaxまたはPrismaflexコントロールユニット（モニター）用に設計された、半透膜を通して血液浄化を促進する、あらかじめ接続された使い捨ての体外循環回路です。

2022年3月、腎・血管・医療外科用製品の製造・供給大手であるニプロメディカルコーポレーション（ニプロ）は、米国でサーダイヤルDX血液透析システムの商業化を発表しました。サーダイヤルDXは、患者と臨床医の双方に最適な透析治療を提供することを目的とした最先端の血液透析システムです。日本で製造された本製品は、ニプロの親会社であるニプロ株式会社が35年以上にわたって培ってきた腎臓機器の技術革新のノウハウに基づいています。

目次

第1章 イントロダクション

第2章 エグゼクティブサマリー

• 主要洞察
• 市場の魅力分析

第3章 調査手法

第4章 持続的腎代替療法市場情勢

• PEST分析
• エコシステム分析
  • バリューチェーンのベンダー一覧

第5章 持続的腎代替療法市場：主要市場力学

• 主な市場促進要因
• 主な市場抑制要因
• 主な市場機会
• 今後の動向
• 促進要因と抑制要因の影響分析

第6章 持続的腎代替療法市場：世界市場分析

• 持続的腎代替療法：世界市場概要
• 持続的腎代替療法：世界市場および2030年までの予測

第7章 持続的腎代替療法市場 - 収益分析：製品別、2020年～2030年

• 透析液・補液
• ディスポーザブル
• 血液ラインセットとチューブ
• 血液フィルター
• CRRTシステム

第8章 持続的腎代替療法市場 - 収益分析：モダリティ別、2020年～2030年

• 持続的静脈血液濾過（CVVH）
• 持続的静脈血液濾過透析（CVVHDF）
• 持続的静脈血液透析（CVVHD）
• 緩徐式持続的限外濾過（SCUF）

第9章 持続的腎代替療法市場 - 収益分析：エンドユーザー別、2020年～2030年

• 病院
• 外来ケア
• 在宅ケア
• その他

第10章 持続的腎代替療法市場：収益分析（2020年～2030年）：地域別分析

• 北米
  • 米国
  • カナダ
  • メキシコ
• 欧州
  • ドイツ
  • フランス
  • イタリア
  • スペイン
  • 英国
  • その他欧州
• アジア太平洋
  • オーストラリア
  • 中国
  • インド
  • 日本
  • 韓国
  • その他アジア太平洋
• 中東・アフリカ
  • 南アフリカ
  • アラブ首長国連邦
  • その他中東とアフリカ
• 中南米
  • ブラジル
  • アルゼンチン
  • その他中南米

第11章 業界情勢

• 合併と買収
• 契約、提携、合弁事業
• 新製品の上市
• 事業拡大とその他の戦略的開発

第12章 競合情勢

• 主要企業によるヒートマップ分析
• 企業のポジショニングと集中度

第13章 持続的腎代替療法市場：主要企業プロファイル

• Baxter International Inc
• Asahi Kasei
• Fresenius Medical Care
• Medica S.p.A.
• Medtronic Plc
• B. Braun
• Nikkiso Co Ltd
• Toray Medical Co Ltd
• Infomed SA
• Quanta Dialysis Technologies Inc

第14章 付録