昨年は株価が値下がりし、企業の収益見込みに警告が発せられ、情報通信部門の債務が膨大化し、企業幹部をはじめ投資家たちの不安感が煽られた一年であった。このスランプ状態は単なる一時の現象ではない。2002年は、極めて不安定なこの情報通信市場の将来をどう見積もるかにより、多くの決断が行われる年になるだろう。その決定によっては意思決定者の評判が決まってしまう。アナリストおよびコンサルタント集団であるOvum社によると、投資やビジネス上の決断を行うのに、世界市場の将来を再見直しすることがこれほどに重要な意味を持ち、大きな影響を及ぼしたことはかつてないという。
市場を密に観察している人々は、1990年代後半にデータセンタ市場の流行が去った後、すぐさまその市場から撤退した。しかし現在Ovum社では、この分野における世界全体の収益は、2002年の約50億ドルから2006年には約150億ドルに達するだろうと予測している。同様に、世界全体のモバイル接続数は、2002年前半の9億7,600万から2004年前半には14億3,000万、2007年前半には18億7,800万まで増加すると見込まれている。経済的に安定しないこの時期に市場の将来性を見つめ直すことは、何をおいても重要なことと思われる。
Ovum社のリサーチプログラムディレクタであるマーティン・ガーナは次の様に説明する:
- 「株式市場がプレッシャーから開放されれば情報通信業界も通常状態に戻れるのでは、という気がしますが、これは間違っています。これまでの情報通信のビジネスモデルは、これからまさに成長しようとしているインフォコム(情報通信)分野では通用しません。実際に起きているこの変化にまだ気づいていない企業は多く、そういう企業は長期的な厳しい視点で今後のビジネスをどう組み立てていくかを考え直し、投資を始めるにふさわしい道をもう一度見つけ直す必要があるのです。現況を考慮して再度将来を見定め直すことしか前進する方法はありません」。
- Ovum社はここ1年間で市場に見られた主な変化をくみ込み、新しく将来予測を策定した。現在頻繁に行われている企業組織の合従連衡や再編成も考慮されている。「Ovum Forecasts: Global IP and Broadband Markets」および「Ovum Forecasts: Global Wireless Markets」という2部構成のこの調査報告書では、固定回線およびモバイル市場でキーとなるビジネス指標に関する記述が行われている。それぞれ、世界7地域50ヶ国を対象とした市場予測を掲載し、比較対象しやすいように、各市場予測には同じ基本データを使用している。
同調査報告書のカバーしている内容は以下の通りである:
- ワイヤレスゲーム。世界全体の収益は2001年の1億2,400万ドルから2006年には40億ドルを超えると見られる。現在最も活気のあるのがアジア・太平洋地域である。中でもNTTドコモのi-Modeサービスが大成功している日本では特にその勢いが強い。しかし、西欧も、2006年までにはアジア・太平洋地域の規模に匹敵するくらいまで成長する見込みである。
- モバイルメディアのストリーミング。オペレータたちがモバイルのストリーミングサービスをフルに開始するのは2006年以降になると思われる。2005年末までの間は、3Gのカバー範囲は広範な地理的範囲に対するストリーミングとなり、3G網の普及は、オペレータやベンダが確約していた速度よりも遅くなるだろう。
- 消費者ポータル。Ovum社の予測によると、2006年までに消費者ポータル市場ではマルチアクセスがデフォルトとなり、その動向に合わせて投資額も大きくなっていく見通しである。ブラウザを使ったワイヤレスサービスのビジネスモデルから生まれるワイアレスインターネットの世界全体収益は、2001年の318億ドルから2006年には2870億ドルを超える見込みである。この数字には、ワイヤレスブラウザサービスユーザの利用する音声サービスだけでなく、データサービスも含まれている。
- 帯域。インターネットトラフィックは既に最も量の多いトラフィックであるが、その占める割合は2007年までに75%を占めるまでになると思われる。同調査報告書の将来予測対象期間の間中、毎年、エンドユーザのトラフィックは55%〜70%の割合で増加し、対象期間の終わりに近づくにつれ、そのペースはスローダウンすると見られる。
- ASP。ASPサービスは間違いなく収益増の大きなチャンスをもたらしてくれるであろうが、当面は厳しい時期を乗り越えなければならないだろう。将来的に大きな収益を得られるベストポジションにつけそうな企業というのは十分な規模とリソースを持っている企業で、成長が今一つ芳しくない間も持ちこたえられるくらいでなければならない。こういった条件も、ネットワークオペレータの獲得するASP市場のシェアを押し上げる大きな要因の一つである。
- ウェブホスティング。この市場については何もかもが暗雲立ち込めているわけではない。経済状況としては厳しいが、それが企業のビジネスプロセス見直しにつながると思われる。しかし、マーケティングの観点から見れば、間接コストをできる限り削減するにはやはり、ウェブサイトのアウトソーシングが最適というのが適切な詠い文句であろう。